損益計算書の数字の読み方-その3-

100

 その2は、コチラをご覧ください。

 

6.会社の経常的な実力・経常利益

 

 

(1)世間が最も注目する数字

 

 会社のいくつかの数字のうちで、世間一般が最も関心を寄せているのは、経常利益である。

 経常利益というのは、文字どおり、会社の経常的な活動に基づく利益、ということを意味する。

 売上総利益から経費を差し引いた利益、これが営業利益である。

 そして、この営業利益に、受け取り利息などをプラスし、支払利息などをマイナスしたものが、経常利益ということになる。

  金融関係の収益とか費用というのは、確かに営業活動に基づくものではないが、会社の経営にとっては不可欠の収益であり、費用である。

  まさに、経常的な収益であり、費用である。

 世間一般で、会社の利益という場合、通常は、この経常利益のことをいう。

  「増収増益」「増収減益」、このような表現をよく耳にすることがある。

 この”益”こそが、実は経常利益のことを意味している。

 会社の経営者にかぎらず、取引先、金融機関、そしてマスコミ全般にいたるまで、多くの人々がまず着目するのが、この経常利益なのである。

 

(2)会社の利益性をみる(総資本経常利益率)

 

 ここに、Xという会社と、Yという会社がある。

 このX社とY社の経営成績はどう判断すれば良いか。

260

  「X社の方が収益性がいい」と判断できれば正解である。

270

280

 

7.法人税等と当期利益

 

 

(1)法人税等とは

 

 会社はさまざまな税金を負担する。

  自動車税、固定資産税、これらの税金は、販売費及び一般管理費に計上されるのが普通である。

 つまり、税金も費用とみなす。

  これに対し、法人税や住民税という税金は、これらの税金とは若干趣を異にする。

 法人税や住民税は、会社が計上した利益を税金の対象とする。

 土地や家屋などを所有しているだけで課税される固定資産税。

 自動車を所有しているだけで課税される自動車税。

 これらとは、税金がかけられる仕組みそのものが異なる。

 つまり、法人税や住民税は利益の金額にスライドする。

  税引前当期利益から、法人税や住民税がマイナスされるのは、ここに理由がある。

 

(2)当期利益とは、純利益のこと

 

 「おたくの会社の純利益は?」という質問があった場合、どう答えるか。

 あるいは、「税引後の利益は?」という質問をされたらどうか。

 いずれも、”当期利益”の金額を答えることになる。