2.財務管理の手法と活用方法
(1)財務管理の種類
財務管理を行う場合、財務諸表などの実数そのものを直接分析に使う方法や、実数を少し加工して行う方法がある。
この方法を実数分析という。
一方では、実数をそのままでなく、比率に直して経営データを検討し、分析する方法がある。
これは、先ほどの実数分析に対して比率分析という。
① 実数分析
実数分析には、基本的な売上・利益増減分析、原価差異分析、経常収支分析、資金運用表分析などがある。
例えば販売実績について、前月の販売実績との比較や、前年同月の販売実績との比較、更に前年度平均販売実績との比較などが基本的な増減分析である。
増減分析をして企業改善に役立てるためには、これにとどめないで更に分解していく必要がある。
販売実績の比較を販売地域別、営業所別、営業マン別、商品群別などに区分した期間比較が必要である。
この他に、販売数量の増減による影響と販売単価の上下による影響も分析の対象となる。
増加、減少の要因を分析することによって、どこにどんな問題があるか、いつまで、どうしなければならないかという改善策が明らかになる。
② 比率分析
実数分析は、主に自社の過去データと比較することで増減分析を行うものである。
仮に経営成績の良否の判定を同業者と比較しようとした場合、業種別の同業他社平均値と比較することになるが、会社の歴史も違い、また、社員数も異なるため単純に実数を並べても比較しにくいところがある。
この場合、実数を比率に置き換えると規模の大小にとらわれず比較することができる。
これが比率分析の良さである。